SDGs活動休暇(9) 「八つ堀のしみず谷津」における生物調査とホタル観察会への参加
- 公開日2022.08.24
清水建設株式会社様で進めている千葉県富里市「八つ堀のしみず谷津再生プロジェクト」[1]の活動に参加しました。同社では、谷津の管理を通じて、谷津が有するグリーンインフラ機能がどのように改善されるのかを実証試験しています。また、この活動は同社単独ではなく国立環境研究所、東邦大学、認定特定非営利法人earth watch JAPAN、NPO富里のホタル、市民ボランティア おしどりの里を育む会など、との協業で進められている点も特徴的です。
今回は、同社が健全な谷津の機能を指標するひとつとして考えているホタルの生息環境に注目しつつ、水生生物や植物相の調査を実施しました。私は、国立環境研究所と東邦大学の方の指導の下、谷津の水路内のカワニナの数について、上流から下流まで調査をする班に参加しました。下流側の掘り込み水路では大型のカワニナが密度低く生息しているのに対し、谷津の奥の上流側の自然水路内には稚貝を含めたサイズの異なるカワニナが高密度で生息していることがわかり、ゲンジボタルの幼虫は小さい頃は小さいサイズのカワニナしか食べられないため、サイズの多様性が重要であることなど、先生方からご説明を頂きました。また、植物質を食べるカワニナにとっては落葉樹の葉が適度に水路内にたまり、かつ日照も多少ある、「ひたひたの湿地」が重要ということも教えて頂きました。
同日には、地域のホタルの保全を行っている団体の方々も集まり、谷津の斜面林の管理作業や、地域の子どもたちと作った竹林内の秘密基地などもご案内頂きました。
作業が終わり、ホタル観察までのひと時、国立環境研究所の先生の案内で、OECMについての意見交換がなされました。その中で、谷津は内陸部の湿地というだけではなく、流域的に考えれば海の保全にまでつながる重要なグリーンインフラであること。民有緑地をOECMに登録したとしても、その維持管理費用など経済的なインセンティブが無いと難しいと思われるが、例えばそれは建設会社にとってどのような意味を持つのか、新しい住宅開発と谷津の保全を両立させるような方法は無いのか、などの意見が交わされ、それは地域循環共生圏が目指す、サステナブルな地域とまちづくり、そしてそこでの人々の働き甲斐のある地域産業の創造、などにもつながるのだと改めて教えていただきました。
日が暮れてからホタルを観察に行きました。近所に住む子ども連れのお母さん方も参加されておられました。ライトを消すとゲンジボタルとは違ったチカチカと光るヘイケボタルが、谷津の湿地や樹冠に数百匹で光る様子は圧巻でした。SDGsについて考える良い機会であったとともに、心身がリフレッシュできたよいSDGs休暇が取れました。次はボランティアで参加しようと思います。
[1] みらいい「清水建設が挑戦するSDGs!富里市の八ツ堀のしみず谷津の休耕田を再生するプロジェクト」https://miraii.jp/sdgs-activities-6