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タイ国油汚染土壌浄化プロジェクトチームが平成21年度「エンジニアリング奨励特別賞」を受賞

  • 公開日2010.02

環境計画グループ

  弊社が共同研究者として参加したタイ国油汚染土壌浄化プロジェクトチームが、財団法人エンジニアリング振興協会(ENAA)の平成21年度「エンジニアリング奨励特別賞」を受賞しました。


  ※財団法人エンジニアリング振興協会(ENAA)のホームページはこちら http://www.enaa.or.jp/


  弊社は、清水建設(株)、アジア工科大学、(独)産業技術総合研究所、山梨大学、(株)インターリスク総研等とコンソーシアムを構成し、平成19年度、20年度に独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構研究協力事業「自然浄化能力を活用した土壌汚染対策技術の開発」に参加しました。
  弊社からは、環境計画グループのグループ統轄 梶谷 修(かじたに おさむ)、主任研究員伴 武彦(ばん たけひこ)、主任研究員井手 佳季子(いで かきこ)が、「現地植生調査および高機能型ファイトレメディエーション手法における植栽デザインの提案」について研究を行いました。


  本技術は、自然浄化機能を用いた土壌浄化技術(ナチュラルアテニュエーション)の効率を高める手法として、現存植生を利用したファイトレメディエーション技術と、現地土壌中の微生物を活用したバイオレメディエーション技術を組み合わせたハイブリッド技術で、以下のような多数の技術メリットがあります。


■現位置浄化が可能です
現在の土地利用を継続したまま、現位置での汚染浄化ができます


■低濃度・高範囲の汚染地で適用が可能です
高度処理や従来のスポット型バイオレメディエーション技術では対応しきれない、低濃度・高範囲の汚染に対しても浄化が可能です


■汚染拡散防止が期待できます
植物の根による吸収作用が、可溶性の汚染物質が地下水等を経由して拡散することを抑制します


■幅広い汚染物質に適用可能です
現存植生から植物種の選抜を行うことにより、重油汚染地から、重金属汚染地まで、その場所の汚染物質に適用することができます


■低コスト化がはかれます
従来の土壌汚染技術と比較して半分程度のコストで浄化が可能です(1万円/m3程度)


■生物多様性の保全に貢献します
現存する植生や微生物を活用するため、生物多様性の保全に貢献しながら浄化できます


■低炭素社会・地球温暖化防止へ貢献できます
緑化による二酸化炭素吸収量の増大と、高度処理で使用する燃料等を使用しないで済むことにより、従来技術と比較して二酸化炭素排出量を大幅に抑えることができる低炭素社会に適応した技術です


■安全安心をサポートします
近接地等への汚染拡散リスクについては、(独)産業技術総合研究所が開発した「地圏環境リスク評価システム(GERAS)」を用いて安全性の評価を行い、所有者の説明責任をサポートします


  今回のタイ国における実証研究において、本技術は約1年という短期間で土壌中の油汚染を除去することに成功しました。今後も、タイ国並びに、東南アジア諸国の同様の土壌汚染地において、優れた効果を発揮することが期待できます。また、国内においても実証実験等を進めており、工場やガソリンスタンド等における汚染除去への適用が期待されています。


現地調査風景
現地調査風景


現存植生を用いた汚染浄化装置 現存植生を用いた汚染浄化装置
現存植生を用いた汚染浄化装置


奨励特別賞 受賞式
奨励特別賞 受賞式
※向かって左から (株)インターリスク総研 原口氏、清水建設(株) 渡邉氏、清水建設(株) 浅田氏、弊社 伴主任研究員


■ファイトレメディエーションとは
ファイト・レメディエーションとは、植物を利用して環境を修復する技術です。主に土壌汚染や地下水汚染の浄化に用いられます。
植物によって汚染された環境を修復するメカニズムにはいくつかあり、代表的なものとしては、
    1)植物体に直接吸収、蓄積して排除する(最終的には枝葉を廃棄物として処理)
    2)植物体内で異化し、無毒化する
    3)分解能をもった微生物の共生関係を強めることで分解する
といったものがあります。


ファイトレメディエーション技術の模式図

株式会社ポリテック・エイディディお問い合わせ

環境計画グループTEL:03-6222-8914(Direct dialing) FAX:03-5541-3501 担当: 伴 武彦


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