再開発・大規模開発分野の研究・論文

先行使用を活用した地権者の早期合意形成方策の考察 ~月島一丁目3、4、5番地区第一種市街地再開発事業における先行使用の実施を通じて~

概要

月島一丁目3、4、5番地区第一種市街地再開発事業は、東京都中央区の月島地区において、平成27年10月に竣工した都心部の住宅供給型の再開発事業である。本事業では都営大江戸線月島駅と直結し、店舗及び福祉施設を併設している。
従前の同地区は、建替え更新が進まない路地に面した長屋と老朽化したマンションがあった。その中で高度利用を図ることにより、約1,200㎡の広場を街区の中心部に設け、防災上の課題を解決し、住み続けられるまちづくりを目指した。
都市計画上は、再開発等促進区により従前許容容積556%のところ、街区全体で約1,000%までの容積緩和を受けている。Ⅰ街区には住宅702戸を整備した。
本稿では、先行使用を手法として導入ことするが権利者の早期再入居の可能性を増し、かつ、合意形成の促進が図れるメリットがあることを検証した。また、先行使用を選択する上での課題を整理することで、今後の再開発事業推進の一助となることを目指している。

地方都市における都市計画事業によらない再開発手法の実践とその 課題について -三島本町地区優良建築物等整備事業を事例として-

概要

計画地は、「JR三島駅」より南に約800m、伊豆箱根鉄道「三島広小路駅」より東に約200mに位置し、旧東海道沿いに栄えた三島宿を元にする「大通り商店街」の中心に立地している。
計画地には大型量販店を核としたネクステージ三島があったが、平成10年に大型量販店の倒産に伴い閉店され、中心市街地の空洞化が急速に進んだ。地元市民、三島市や商工会議所等は、跡地利用について早急な対応を望んだ。地権者は、市及び商工会議所の支援を受けながら、都市再開発法によらない任意の再開発として、三島市初の優良建築物等整備事業を活用し法定再開発の手続きに準じた形で建替え事業を行った。
本稿では、事業経緯とともに、法定再開発の手続きに準じた事業推進方法およびその課題について整理したものである。